医師のもとに駆けつけ
15%で、エストロゲンの分泌量が多内膜症の増殖には女性ホルモンのひとつ、エストロゲンがかかわっているため、妊娠すると一時的に治ることがあると前にお話ししましたが、その理由のひとつは、子宮内膜症は月経に伴っておこるので、月経がなくなれば症状が出ないという、単純明快なものです。もうひとつは、妊娠中は子宮が動いて、子宮内膜症によっておきている癒着(子宮、卵管、卵巣、腸などがくっついてしまうこと)がはがれるため、症状がおさまることになります。
ゆちゃくそのほか、内膜組織の増殖に免疫がなにかしらかかわっているという、免疫説
もあります。
血液中にはマクロファージという免疫細胞が存在していて、がん細胞やそのほかの異物をやっつけてくれます。
子宮のあたりにもマクロファージがいて、月経になると卵管や卵巣などにもれ出てきた子宮内膜をきれいに食べてくれます。ところが、なんらかの理由で免疫力が落ちてきたり、免疫のバランスがくずれたりするとマクロファージの働きが弱まり、いわゆる食べ残しが出てくる。それが子宮内膜症になるのではないか。これが免疫説です。
人によって子宮内膜症になったり、ならなかったりするのは、人によって免疫力が違うから。
そう考えることもできるわけです。
子宮内膜症には、内膜組織がおなかのなかの小腸や大腸、肝臓などの臓器を包む薄い膜、腹膜に増殖する腹膜病変、卵巣内に増殖する卵巣チョコレートのう胞、子宮のうしろ側のくぼみダグラス窩に増殖するダグラス窩閉塞などの種類があります。
へいそくまた、内膜組織が子宮の筋層内で増殖するものは、子宮腺筋症前のページコラム参照といいます。
なかには、肺や横隔膜、思いもよらないところに増殖することもあり内膜組織たいへんまれですが、膣、直腸など、これは婦人科の手術や、出産に際して帝王切開を行ったときに誤って血管を傷つけてしまい、ます。
が血流に乗って、ほかの部位に飛んでしまったためだと思われます。
肺に飛んだ場合、症状が出ていても気づかないことが多く、肺がんなど別の病気で手術や検査をして、内膜組織が見つかるというケースもあります。一方、大腸などの消化器や膀胱などの泌尿器に飛んだ場合は、月経のときに血尿や血便が出ることがあります。血便が出たため大腸がんを疑って調べてみたら、実は子宮内膜症だったという例を、私自身、実際に経験しています。
子宮内膜症の代表的な症状は、月経痛です。しかも進行するほど症状が重くなります。そのほかに、月経時の腰痛、性交痛、排便痛などがあります。痛み以外の症状としては、過多月経、貧血、下痢、便秘、頻尿、むくみなどがあります。
卵巣内で内膜組織が増殖した卵巣チョコレートのう胞の場合は、かなり進行するまで症状が見られませんが大きくなった卵巣のつけ根の部分がねじれる茎捻転をおこしたり、のう胞が破裂したりすると、激しい腹痛におそわれます。
けいねんてん
子宮内膜症の進行度
了内診や経膣エコーなど、外からの診察では、子宮内膜症がどの程度進んでいるのか、よくわかりません。アメリカ生殖医学会がRe.ASRM分類表をすすめていますが、これは実際におなかを開いて、状態を確認しないといけないのです。
うつは完治していません
薬物療法を行っている人たちです。
これに対して、内診や経膣エコーの診察だけでわかるものとして、ばれるものがあり、進行度の判断に利用しています。
ビーチャム分類
次ページ参照と呼どういうときに治療が必要?
子宮内膜症はそのままにしておいても、命にかかわるような病気ではありません。
症状が月経周期にあわせて定期的におこるだけです。
ただし、悪性にならないというのは、ふつうの子宮内膜症の話です。卵巣チョコレートのう胞の場合は、閉経後に悪性(明細胞腺がんという卵巣がんの一種)になる可能性があることがわかってきたので、手術をしたほうがよいでしょう。また、なんらかの理由で手術をしない場合は、1年に1回は経膣エコーを受けて、のう胞の状態をきちんと確認しておくようにしましょう。
アliさらに、月経痛がひどくて寝込んでしまう、仕事に行けない、性交痛がひどくてセックスができないなど症状によって日常生活に支障が出てしまうときは、やはり治療をしたほうがよいと思います。
また、子宮内膜症は不妊の原因のひとつになっていますので、妊娠を希望する方は、早めの治療をおすすめします。
子宮内膜症と不妊の関係
不妊症ではないかと疑って受診した女性の、50%に子宮内膜症が見つかるという報告があります。
ただ、子宮内膜症不妊だと誤解しないでほしいのです。不妊症の可能性があるときは、排卵がきちんとあるか、ホルモンの分泌は正常かなど、いろいろな検査を行います。その過程で、子宮内膜症が見つかる場合がある、ということなのです。決して、「検査をして子宮内膜症が見つかった方の30~50%が不妊症になる」わけではないのです。だから、「子宮内膜症があるから、私は子どもができないんだ」と、がっかりすることはありません。子宮内膜症とうまくつきあいながら、無事にお子さんを出産された方を、私はおおぜい知っています。
子宮内膜症が不妊をひきおこす、①卵子がキャッチできないそのおもな理由は次の4つです。
薬や有機栽培にたどりつきます。
ゆちゃくもっともわかりやすい理由は、卵巣と卵管の癒着、卵巣と子宮の癒着、直腸と卵管の癒着です。
子宮内膜症になると、内膜組織によって臓器どうしがくっついてしまうことがよくあります。そうすると卵管や卵巣が動きにくくなってしまいます。卵管の先卵巣側にあって、卵巣から飛び出した卵子をキャッチして卵管に送る卵管采(前のページ「子宮とホルモンのしくみを知っておこう¥子宮と卵巣はこんな構造」イラスト参照)の動きが悪くなれば、卵子をキャッチできなくなりますし、卵管に癒着があれば、卵子が卵管を通りにくくなる通過障害がおこります。
②排卵が行われにくいらんかんさい卵巣チョコレートのう胞になると卵胞が成熟しにくくなり、娠しにくいといわれています。③プロスタグランジンの影響正常な卵子の成長と排卵が障害されるため、妊子宮内膜症になると、プロスタグランジンという生理活性物質(微量で体の働きを調節する作用をもつ物質)の放出が盛んになります。
プロスタグランジンは流産をおこす原因にもなっていることから、妊娠に結びつきにくいといわれています。ただし、最近はこの説はあまり主流ではありません。
④サイトカインの影響そのほかに注目されているのは、子宮内膜症になると、ある種のサイトカイン次のコラム参照が放出され、それが不妊の原因になるという説です。この説は、まだ検証科学的に実証するための研究がきちんと行われていないので、むやみに不安がる必要はないと思います。Columnサイトカインと子宮内膜症リンパ球やマクロファージなどの免疫細胞や神経細胞、造血細胞は、お互いに情報交換したり、コミュニケーションをとったりするために、いろいろな物質を出しています。これらの物質のことを総称して、サイトカインと呼んでいます。このサイトカインがもたらす情報によって、がんや関節リウマチなどの自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患といった病気が発症したり、治ったりしているのではないかと推測されます。
子宮内膜症についても同様で、内膜組織が子宮の外で増殖すると、免疫細胞のマクロファージが集まってきます。生体にとって異常な、よけいものの内膜組織を食べてくれるのです。
ところが、このマクロファージが分泌するサイトカインのうちのどれかが、妊娠を妨げてしまうらしいことがわかってきました。
薬やビタミンB複合剤を投与します。
うつ病の既往歴などが考えられています。
マクロファージが集まってこないと増殖したよけいな内膜組織はそのまま増え続けて子宮内膜症が悪化してしまう。しかし、集まってくるとサイトカインのせいで、妊娠しにくくなる。非常にやっかいな関係があるようです。
Column子宮腺筋症子宮腺筋症とはあまり聞き慣れない病名ですが、子宮内膜症のひとつで、内膜組織が子宮の筋層内にもぐりこみ、増殖する病気をいいます30歳代後半の女性に多くみられること、子宮筋腫との合併が多いことなどがわかっています。
症状は月経痛、ないことも多く、なくありません。
過多月経、性交痛などふつうの子宮内膜症とあまり変わりませんが、症状がほとんど見られ子宮の病気で手術をしたときにはじめて子宮腺筋症であったことがわかるというケースも少内膜組織の増殖によって子宮が変形することがあり、そうなると不妊や流産の原因になるといわれています。
治療は基本的に、子宮内膜症に準じて行われますので、前のページを参照してください。
子宮筋腫とはどんな病気?
子宮筋腫の原因しゅよう子宮にできた良性の腫れものです。
筋肉に腫瘍というふうに書きますが、実際は筋肉のかた「線子宮筋腫とは、せんいまりではなく、筋肉が線維に変異維腫」ともいわれています。
線維化したもので、さわってみると硬いものです。
専門家の間では筋腫ができる部分は、95%が子宮体部、5%が子宮頸部です。顕微鏡で見ないとわからないくらい小さなものから、なんと十数kgに及ぶものまであります。私自身が実際に治療した子宮筋腫でもっとも大きいものは3㎏ぐらいでしょうか。出産間際の胎児ぐらいの大きさです。
病気があるかないかを調べます
細胞で構成されている
それくらい大きくても症状がほとんどなく、ごくふつうの生活を送っている方もいます。体型がスリムだと、おなかだけが妊娠したようにポッコリと大きくなっていることもあります。
では、女性のどれくらいに子宮筋腫が見られるかについては、30歳以上の女性の2040%、35歳以上の4050%、月経がある女性の約20%など、さまざまなデータがあります。いずれにしても、めずらしいものではなく、誰にでもできうるものといえるでしょう。
それほど多い病気でありながら、子宮筋腫がどうしてできるのかは、いまだにわかっていません。皮膚にシミやシワができるのと同じで、加齢現象のひとつ、と考えている専門家もいますが、しくみが明らかになってはいません。ただ、女性ホルモンのエストロゲンがなんらかのかたちで影響していることは確かなようです。
また、婦人科医の間では、遺伝となんらかの関係があるらしいという意見が主流となっており、実際に海外では研究が進められています。
ただ、発生のメカニズムはわかっていないにしても、なっています。
筋腫が大きく成長するメカニズムはある程度、明確に子宮筋腫ができると、その周囲に新しい毛細血管が続々と張りめぐらされます。筋腫はその血管から栄養をもらって大きくなっていくのです。筋腫を養うために、子宮内の血流が増えてきます。
薬を処方する前には必ず
- ガンセンターの平山博士の調査結果もあります。
- 治療を行わないと生命の危険を伴うことがあります。
- 遺伝病の例で支持されています。
薬を処方する前には必ず 検査でその見極めをすることが必要です。 検査でその見極めをすることが必要です。